一般婦人科外来とは
女性特有の症状を外来にて診療するのが一般婦人科外来です。主に月経不順、不正出血、下腹部痛、おりものの異常などの症状をみることが多いですが、肩こりや貧血といったことでも、女性ホルモンのバランスの崩れによって起こることもあり、それが心身の状態に大きな影響を及ぼしています。とくに、生理、妊娠、更年期(年齢)などによって、いろいろな変化が生じてきます。女性の体はとても複雑かつ繊細微妙ですので、体の不調を感じたらまずは婦人科にご相談ください。
このような症状がみられたらご相談ください
- 月経異常(正常の月経とは異なる状態。生理不順、稀発月経、頻発月経、無月経、過長月経・過多月経、過少月経・過短月経 など)
- 不正出血(周期的な月経以外に、不規則な出血がある)
- おりものの異常(正常なおりものは無色透明で、ほぼ無臭ですが、この色や臭いが通常とは異なる)
- 外陰部の異常(痒い、赤く腫れる、ただれる、痛い、しこりがある など)
- 乳房の異常(しこりや痛み、皮膚にひきつれや窪みがある、乳頭がへこんだ など)
- 腹痛(子宮や卵管、卵巣の病気によって起こるケースもある)
一般婦人科で診療する代表的な疾患・症状
月経異常
月経異常とは
月経異常とは、正常な月経とは異なる(月経の周期、月経持続日数、月経血の量、月経に伴う不快症状が強く出て日常生活に支障をきたすなど)状態を言います。
よくみられる月経異常
このような症状がある場合は、ご受診ください。
生理不順
月経周期は25日以上38日以内にあれば正常ですので、毎月きちんと28日や30日型などで来る必要はありません。前月27日目にあり、今月はやや遅れて35日型になったというような場合も正常です。しかし、いつも40~50日型、あるいは20日ごとに月経がある場合は問題があります。
稀発月経
40~50日ごとに月経が来ることを「稀発月経」(たまにしか来ない月経)と言います。このような状態の多くは月経が始まった日から排卵するまでに長い日数(例えば30日間)を要し、その14日後に次回の月経が来るタイプ(遅延排卵)がよく見られます。つまり排卵はあるものの、スムーズに排卵が起こらないことが多いのです。また月経と思っていた出血が、実は排卵が無い出血(無排卵周期)ということもよくあります。
頻発月経
月経あるいは月経様の出血が頻繁にあるような場合も、実は排卵が起こっていないための無排卵性出血のことが少なくありません。出血(生理様出血)と出血の間が2週間くらいしかなく、かつ出血期間が10日とか2週間と長く続く場合は、きちんと排卵が起こっていないと考えられます。
無月経
月経が90日以上来ない場合を無月経と言います。そのため、生理不順でも90日以上月経がない場合は、単なる生理不順ではなく、より注意を要するタイプです。このような無月経の多くは排卵が起こらないでホルモンの機能が低下、あるいはほとんど停止していることが多いのです。しかも、この無月経の状態を長期間(7ヵ月以上)放置しておくと、ホルモンの失調がますます強くなり、頑固なホルモン異常(排卵障害)になります。ですから無月経の期間が3ヵ月以上続いたら、早めに受診してください。なお、妊娠が考えられる場合も同様です。
過長月経・過多月経
月経期間が8日以上続く状態を「過長月経」と言います。原因としては、ホルモンバランスの乱れや子宮の病気が考えられます。女性ホルモンの分泌に関係する器官(視床下部、脳下垂体、卵巣など)に何らかのトラブルがあって無排卵周期になっていたり、または黄体ホルモンの分泌が不十分なために黄体機能不全になっていたりする可能性があります。
また、出血量が増える、経血にレバー状のかたまりが混じる、月経痛が酷いなどの症状が見られる「過多月経」の場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜炎、子宮がんなどが原因になっていることもあります。
過少月経・過短月経
経血量の極端に少ない状態を「過少月経」、月経が2日以内で終わってしまうような場合を「過短月経」と言います。女性ホルモンの分泌量が少ないため子宮内膜が厚くならない、あるいは子宮の発育不全などのほか、甲状腺機能の異常が原因のこともあります。月経は来ても排卵の無い無排卵月経になっているケースも少なくないので、長く放置すると不妊の原因にもなりえます。ホルモン剤などによる治療が必要な場合もあります。
月経前緊張症(PMS)
月経の2週間ないし1週間くらい前から起こり、月経開始とともに減少したり消えたりする、精神的あるいは身体的症状。むくみや頭痛、乳房の痛み、腰痛、食欲不振、倦怠感、抑うつなど、人により様々な症状が見られます。
思春期相談
思春期相談とは
10~18歳頃までの時期を思春期と言いますが、この頃は男女ともに第2次性徴が始まり、身体が大人へと変わっていく時期で、性差の違いやホルモン変化などが顕著になってきます。また精神的な部分においても、心理的な自我の目覚め、アイデンティティ(自我)の確立、価値観の変化など、複雑な発達課題に直面する時期でもあります。
当院では、身体の成長に伴う思春期特有の症状をみるのをはじめ、心身のデリケートなお悩みを持つ思春期世代の方のご相談にも応じます。ご家族の方の同伴も歓迎します。
こんな症状のある方はご相談ください
・お腹がすぐに痛くなる ・下痢、便秘が続く ・朝起きられず、午前中調子が悪い ・立ちくらみ、立っていると気分が悪くなる ・気を失って倒れてしまうことがある ・体が重たくて、だるい ・顔色が悪く、食欲も無い ・心臓の拍動が速くなる ・よく頭痛がする ・下腹部や腰が頻繁に痛む ・原因不明の体調不良に悩んでいる ・ダイエットで体調を崩した ・胸が大きくならない ・月経がない(原発性無月経) など
更年期相談
更年期相談とは
主に更年期障害でお悩みの方を診療するのが更年期相談です。女性は30代後半から女性ホルモン(エストロゲン)の量が徐々に減少していきます。そして多くの方が50歳前後(日本人女性の平均は50.5歳)で閉経を迎えており、この閉経前後の年代とされる45~55歳頃までの約10年間を一般に更年期と呼びます(※個人差があります)。
更年期では、女性ホルモンの分泌量が急激に減少しますので、体がその変化に対応し切れずに、様々な不調を招きがちです。ただ、この不調症状には個人差が大きく、その程度が非常に強い方から全く感じないほど弱い方まで様々ですが、日常生活に差し支える症状が現れた場合を一般に更年期障害と呼びます。
心身にわたって多様な症状が起きる
多様な症状が心身にわたり引き起こされるのが更年期障害の特徴です。そのため、似たような症状の病気を発症していた場合は、つい見逃しがちになります。とにかく原因をはっきりさせ、その治療に専念することが大切です。検査では、すでにあらわれている諸症状、および血中の女性ホルモン量を調べることで、更年期障害か否かの診断を行います。
少しでも体調が悪いと感じたら、お早めにご相談ください。更年期障害の主な症状は以下の表の通りです。
体の症状
・体が重だるい ・立ちくらみ ・疲れやすい ・耳鳴り ・のぼせる ・動悸 ・顔がほてる(ホットフラッシュ) ・手足の痺れ ・手足の冷え ・乳房の痛み ・大量の汗をかく ・関節の痛み ・体の痒み ・むくみ ・皮膚や目、口の乾燥 ・肩こり、腰痛 ・めまい ・頭痛、頭重感 ・尿トラブル(頻尿、尿漏れ) ・性交痛 ・抜け毛・薄毛 など
心の症状
・イライラ ・不眠 ・不安 ・うつ ・意欲の低下 ・もの忘れ など